Kraft Architects  Atsushi Nakamura

WHITE HUT

高度経済成長期に開発された北軽井沢の別荘地に建つ、小さな別荘の改修計画である。半世紀の時間のなかで、土地に刻まれた開発の記憶と森が蓄えてきた時間は乖離し、建物は増築や周辺環境の変化によって自然との関係性を失っていた。本計画は、別荘という建築形式に内在していた静寂と自由を再構築することを目的としている。計画は建物にとっての「表」と「裏」を反転させることから始まった。すると、これまで裏として扱われてきた外部空間から、その先の森へ向かう明確な視線の軸が立ち現れた。私たちはこの南北方向に貫く軸を「光軸」と名付け、既存天井を撤去して現れた家形の断面構成を活かしながら、開口部と諸室を再編した。抽象度の高い素材によって構成された内部空間には、光のグラデーションが静かに広がる。一方で露わになった既存の梁や構造材は確かな物質として空間の骨格を形づくる。南北に貫く光軸は、森の気配や季節の移ろいを内部へと導き、光と構造、そして風景の関係を際立たせる。ここには、静謐な時間とささやかな自由を受け止める新たな別荘の姿がある。

所在地:群馬県嬬恋村  
延面積:45㎡   
主要用途:別荘  
構造/規模:木造/平屋  
竣工:2025  
写真家 : Masao Nishikawa